緊急時の受診について
突然、片方の手足や顔が動かしにくくなった、言葉が出ない、ろれつが回らない、急に見えにくくなった、経験したことのない激しい頭痛が起きた場合は、脳卒中の可能性があります。専門外来の予約を待たず、119番へ連絡してください。*4
概要
もやもや病は、脳へ血液を送る太い動脈が細くなり、血流を補う細い血管が発達する病気です。手足の脱力や言葉の出にくさが一時的に現れることがあり、脳梗塞や脳出血につながる場合もあります。*1
「もやもや」という名前は、脳血管撮影で細い血管が煙のように見えることに由来します。医学的には、内頚動脈という太い血管の終末部を中心に狭窄や閉塞が起こり、その周囲に細い血管が発達することが特徴です。日本では指定難病に定められています。*1*2
主な症状
症状の現れ方は、年齢や血流の状態、脳梗塞・脳出血の有無によって異なります。主な症状には次のようなものがあります。*1
- 片方の手足の脱力やしびれ
- 言葉が出にくい、ろれつが回らない
- 頭痛
- けいれん
- 意識の変化
- 成人では情報処理・注意・記憶の低下、小児では脳梗塞後の学習面への影響
症状が短時間で治まることもありますが、改善したから安全とは限りません。また、頭痛などを調べるために行ったMRIで、症状がない段階に見つかることもあります。*1
子どもでは、泣く、笛を吹く、熱い食べ物を息で冷ます、激しく運動するなど、呼吸が速くなったあとに症状が現れることがあります。*1
原因と遺伝
発症の原因は、現在も完全には解明されていません。RNF213という遺伝子との関連が知られていますが、遺伝子の変化がある人すべてが発症するわけではありません。家族内で発症する例がある一方、家族歴がない人にも発症します。*1
家族の検査や遺伝について心配がある場合は、自己判断で検査の要否を決めず、主治医に家族歴を伝えて相談してください。
検査と診断
診断では、MRIで脳の状態を、MRAで脳の血管を調べます。病状や画像所見によっては、カテーテルを用いる脳血管撮影が必要です。SPECTやPETなどの脳血流検査は、脳の血流がどの程度不足しているかを評価し、治療方針を検討するために行われることがあります。*2*7
片側だけに所見がある場合も診断の対象になります。画像の変化が似ている別の病気もあるため、検査結果を脳血管疾患に詳しい医師が総合的に判断します。*2
受診時には、これまでに撮影したMRIなどの画像、検査結果、紹介状があると診察に役立ちます。必要な資料や予約方法は医療機関によって異なるため、受診前に公式案内を確認してください。
治療
治療は、症状、年齢、脳血流、脳梗塞や脳出血の有無などをもとに検討されます。すべての人が直ちに手術を受けるわけではなく、経過観察、薬物療法、血行再建術などから個別に方針を決めます。*3*6
薬物療法
脳の血流不足による症状がある場合などに、血小板の働きを抑える抗血小板薬が検討されることがあります。ただし、病型によっては出血への注意も必要です。薬の開始・中止・変更は自分で判断せず、担当医と相談してください。*1*3
血行再建術
脳への血流を補うため、頭皮の血管を脳の血管へ直接つなぐ方法や、時間をかけて新しい血流路が育つことを期待する方法があります。手術の方法や適応は、年齢、症状、血流検査などをもとに判断されます。手術は狭くなった血管そのものを元に戻す治療ではないため、手術後も定期的な通院が必要です。*1*3*6
日常生活と経過観察
経過や生活上の注意点は人によって異なります。特に子どもで症状が繰り返し起きている場合は、運動や楽器演奏などについて主治医へ具体的に相談してください。一方、状態が安定している人まで一律に生活を制限するものではありません。学校や仕事で困りごとがある場合は、主治医と相談し、必要に応じて学校や職場とも調整します。*1
症状がなくても血管の状態が変化することがあるため、担当医が示した間隔で画像検査や診察を受けることが大切です。*1*6
受診先
もやもや病の疑いを指摘された場合や、診断後に治療方針を相談したい場合は、脳血管疾患を扱う脳神経外科などが相談先になります。子どもの場合は、小児の脳血管疾患に対応しているかも確認します。
通常の初診、専門外来、セカンドオピニオンは、それぞれ目的と申込方法が異なります。予約の前に、次の点を医療機関の公式サイトや窓口で確認してください。
- もやもや病が診療対象として掲載されているか
- 初診の予約を本人が行うのか、紹介元の医療機関が行うのか
- 紹介状や画像データが必要か
- 成人・小児などの年齢条件があるか
- 通常診療とセカンドオピニオンのどちらを希望するか
地域別施設一覧では、公式情報を確認した57施設を都道府県別に掲載し、病院名から各施設の初診案内へ進めます。診療体制や予約方法は変更されることがあるため、初診案内に記載した確認日と医療機関の最新情報をご確認ください。
受診前に整理しておくこと
症状から病名を自己判定するためではなく、医師へ経過を正確に伝えるため、次の内容をメモしておくと役立ちます。
- 最初に症状が出た日時
- どのような症状だったか
- 左右どちら側に現れたか
- どのくらい続いたか、元に戻ったか
- 泣く、運動する、息を強く吐くなどの直前の行動
- 同じ症状が起きた回数
- これまでに受けた検査と治療
- 服用中の薬
- 脳卒中やもやもや病の家族歴
医療費助成
もやもや病は指定難病ですが、診断を受けた人全員が自動的に医療費助成の対象になるわけではありません。重症度などの認定条件があり、申請には難病指定医が作成する書類などが必要です。詳しい申請方法は、主治医またはお住まいの都道府県・指定都市の窓口へ確認してください。*5
よくある質問
症状が治まれば受診しなくても大丈夫ですか
一時的に症状が改善する場合がありますが、改善したことだけでは安全と判断できません。突然の脱力や言語障害などがあった場合は、速やかに医療機関へ相談してください。現在症状がある場合は、冒頭の緊急案内を優先してください。*1*4
家族も検査を受ける必要がありますか
家族内で発症する例はありますが、家族全員に一律の検査が必要とは限りません。若くして脳卒中を発症した家族がいるなど、家族歴が気になる場合は主治医へ伝え、検査の必要性を相談してください。*1
診断されたら必ず手術になりますか
必ず手術になるわけではありません。症状や脳血流、画像所見などを確認し、経過観察、薬物療法、手術を個別に検討します。*3*6
手術を受ければ完治しますか
血行再建術は脳への血流を補う治療で、狭くなった血管そのものを元に戻す治療ではありません。手術後も病状に応じた定期通院が必要です。*1*6
参考文献
*1 難病情報センター「もやもや病(指定難病22)」(情報更新:令和6年10月、2026年9月27日確認)
*2 Research Committee on Moyamoya Disease「Diagnostic Criteria for Moyamoya Disease – 2021 Revised Version」(2022年、2026年9月27日確認)
*3 Research Committee on Moyamoya Disease/Japan Stroke Society「2021 Japanese Guidelines for the Management of Moyamoya Disease」(2022年、2026年9月27日確認)
*4 日本脳卒中協会「脳卒中の主な症状」(2026年3月19日更新、2026年9月27日確認)
*5 難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」(2026年9月27日確認)
*6 国立循環器病研究センター病院「もやもや病専門外来」(2026年5月27日更新、2026年9月27日確認)
*7 国立循環器病研究センター病院「もやもや病」(2026年5月28日更新、2026年9月27日確認)
最終確認日:2026年9月27日
